日本ACLS協会のトレーニングラボにて、BLS講習のインストラクターをしている藤村さん。

元々日本ACLS協会主催のBLSプロバイダーコースの生徒さんで、現在では指導者側になり日々、BLSコースの指導を行っています。

インストラクターとしてBLS講習にかける思いや、インストラクターになったきっかけなど色々な話をして下さりました。コース受講を迷っている方やインストラクターを志している方にとって、非常にタメになるお話しなので、ぜひご一読ください。

東京トレーニングラボでBLS講習のインストラクターを努めている藤村さん。高知県在住/東京本郷トレーニングサイト所属/保有ライセンス AHA BLSインストラクター (役職 リードインストラクター)

BLS講習は一期一会

藤村さんは、トレーニングラボでインストラクターをなされているという事ですが、具体的にはどんなお仕事なのでしょう。

名前のとおり、BLSコースの受講生の方たちに向けて一次救命処置のインストラクションをしています。受講生の方はドクターの方から看護師、理学療法士といった医療関係の方だけでなく、大学生や一般の方もいらっしゃいます。

色々な方が受講されるという事で、何か気をつけていることや工夫していることなどあるのでしょうか?

受講する方の背景はすごく気にしています。もちろん、受講する方のレベルや知識によっても変わる部分はありますが、この方がどうしてBLSコースを受講するに至ったのかという背景をしっかりと汲んであげることでプレゼンの仕方を工夫したり、実習する際のチーム分けも意図をもって変えていたりします。

たった一日の講習でも受講者の背景まで気にされているというのは驚きです。

BLS講習は一期一会だと思っています。インストラクターにとっては、何度もある講習の中の1回でも、受講生にとっては数年に一回しかないものですし、一般の方にとっては一生に一度の講習かもしれません。ほとんどのコースが1日で完結するものなので、そのたった1日で”ここで受けてよかったな”と思って頂ける様、毎回創意工夫をしています。正直、今日はあまり上手くいかなかったなぁ、という日もあったりして、そのたびに反省をしながら次のために改善をしていく毎日です。

浜松町にある東京トレーニングラボにて、BLSコースの講習を行っている。

日本ACLS協会のコースの質の高さに驚き、BLSインストラクターを志しました。

話は変わりますが、藤村さんがBLSのインストラクターになったキッカケはなんだったのでしょう?

キッカケは10年以上前にさかのぼるのですが、まだBLS自体の知識がなかった頃、目の前でBLSが必要な状況に直面したんです。目の前に救わなくてはいけない命があるのに、自分では何もできなくてただただ救命士さんを待つしかなくて、、、幸いその方の命は助かったのですが、もしまた同じ様な状況に直面したらと思い「やらなきゃ、学ばなきゃ」とBLSを学び始めました。

BLSの道に進むキッカケの出来事があったのですね。

そうです。それから実は、色々なところでBLSの講習を受けていたりしたのですが、日本ACLS協会の講習に参加する機会があって、そこからずっとお世話になっています。

日本ACLS協会の講習に何か特別なことがあったのでしょうか。

コースクオリティは日本ACLS協会が一番だと思っています。アジェンダの流れが細かく、その上で時間管理が徹底されています。何よりなあなあでやっていないなというのを感じていて、ここでインストラクターをやりたいと強く思いました。

今の藤村さんのインストラクションに繋がる考え方や仕組みが元々ここにあったということですね。

それに、AHA(アメリカ心臓協会)の教育に準拠したものを教えているというのも大きいです。世界の標準で、間違いないもの・根拠のあるものなので自信を持って伝えていけるなと思いました。

BLSに関しては、都会も田舎もなく標準化されていないといけない

そういえば藤村さんは、地元である高知県から来られているとお聞きしました!(※当日藤村さんがインストラクターを務めていたのは東京のトレーニングラボ)

高知県の土佐清水市というところに住んでいて、空港からさらに3時間車で走る必要があります。東京から最も遠い場所と言われていますね。ちなみに普段は臨床工学技士として高知の病院で働いています。

高知県土佐清水市の足摺岬から見た景色。東京からたどり着くのに最も時間のかかる場所の一つと言われている。

ええっ、高知県ですら遠いのにそこからさらに3時間とは、、、

でも、お金を稼ぐための”仕事”としてではなく、生涯学習だと思っているのであまり苦ではないですね。BLSのインストラクションを通して学んだことが、本業にも生きていますし、例えば私はよさこい踊りのチームでリーダーとして活動しているのですが、そこでもここで学んだインストラクションの工夫がすごく役に立ちました。自分自身が本当に勉強させてもらっているという感覚です。

なるほど。しかし、それであればいっその事東京に来てしまうという選択肢もあると思うのですが。

私の最終目標は高知に教育をもっていくことです。正直、本音を言えば色々な場面で高知ではまだまだ古いやり方がいまだに行われていることが多くて、それは教育に触れる機会が少ないのが原因だと考えています。でも少なくともBLSに関しては都会も田舎もなく、標準化されていないといけないはずです。都会だろうと田舎だろうと等しく救える命は救われるべきですから。なので東京で得た知識やスキルを、地元で広めるために未だに高知から通っています。

そういった活動もしているのですか?

去年はなかなか開催できなかったのですが、一昨年は東京本郷トレーニングサイト所属のインストラクターの皆さんに来て頂いて講習会を年6回開かせてもらいました。高知県で世界標準の一次救命処置が受けられるよう、これからもそういった活動をしていきたいです。

最後にBLS講習を受けようか迷っている方、またそこから発展してインストラクターになろうか迷っている方の後押しをお願いします。

BLSコースに関してですが、医療者であれば当然知っておかないといけない、できなければいけないというものなのでまずは受けて頂きたいです。技術やスキルは知っているだけでは意味がなくて、”できる”状態にする必要がありますので。もちろん一般の方でも、目の前で助けなければいけない命があった時に、絶対に役に立つスキルですのでぜひ受講をおススメします。
インストラクターになろうか迷っている人がいれば、やっぱり挑戦して欲しいですね。BLSや医療に関することだけでなく、先ほどお話ししたように日常に落とし込める部分は非常に多いと思います。インストラクターをやるのは本当に楽しいですよ。