救える命を確実に救うことの必要性

AEDという単語を聞いてどんな時、何の目的でどのように使用するものなのか理解されている方がかなり増えていると思いますがまだまだ十分とは言えません。

AEDは 全自動式体外式除細動器(Automated External Defibrillator)の略語で、心臓で起きている致死的不整脈(全身に血液が送れない状態)、つまり心停止のリズムを正常なリズムに戻して、全身に 血液が送れる状態に戻す医療機器のことです。最近では駅や空港、高速道路のサービスエリアそして学校やコンビニなどでも見かけられるようになりました。一度、心停止つまり心臓から全身に血液が送れなくなると体の中の酸素濃度はどんどん低下します。早く心拍再開を得ることが患者さんの完全社会復帰に繋がります。そのためには早期に質の高い胸骨圧迫を開始し、早期にAEDを使用することが非常に重要です。酸素濃度が低下すればするほど、心臓は動き出しても意識が戻らないという状態になる確率が高くなってしまいます。

こういった場面に出くわした場合、誰もがきちんと心肺蘇生法が出来るだろうか? もし間違ったことをしたら患者さんに申し訳ない、と考えてしまいます。しかしそれでは助かるはずの人が助からなくなってしまうのです。病院内であれば医師は当然として看護師、薬剤師、放射線技師、理学療法士など病院スタッフ全ての医療従事者、公共の場であれば警察官、教員、空港や駅の職員、スポーツインストラクター、そして一般の方が勇気を出して行動を起こす必要があります。

日本ACLS協会の始まりは前理事長青木重憲先生が1992年にアメリカ心臓協会(American Heart Association:AHA)の心肺蘇生講習会、BLS(Basic Life Support:一次救命処置)、ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)の講習会をアメリカで受講され感銘を受け、これを何とか日本の医療従事者に広げたいということで、AHAの講習会に準じた心肺蘇生の講習会を日本で開催したことに始まります。2002年にはAHAと日本で初めて正式なトレーニングセンターとして契約を締結し、AHAの心肺蘇生講習会の普及活動を開催しています。

講習会の種類も日本のトレーニングセンターの中で最も多くの成人・小児を含めた、応急処置のコース、一般の方対象のコースなどを開催しています。東京(浜松町)、大阪(なんば)、福岡(天神)には講習会の定点開催が出来るトレーニングラボを持ち、毎日講習会を実施しています。全国に60 カ所のトレーニングサイト(地域で講習会を開催するインストラクターの集まり)や地域でも講習を受講できるように講習会を開催しています。

当協会は2014年から5年連続してAHAからプラチナ賞を受賞しています。プラチナ賞は全世界のトレーニングセンターの中でインストラクターに対して質の高さを教育し、受講生に対しても質の高い講習会を実施しているトレーニングセンターに与えられる賞です。全世界でプラチナ賞を受賞出来るトレーニングセンターは毎年2~3ヶ所にすぎません。国内にも多くのAHAトレーニングセンターがありますがプラチナ賞を受賞しているのは当協会のみです。しかも5年連続は世界中でも唯一当協会のみです。講習会受講後、すぐに臨床で役立つような実践的な指導をしているのが認められたと自負しています。

AHAの資格を得ることが目的ではなく目の前の患者さんを救いたいという方は、ぜひ当協会でのAHAコース受講をお勧め致します。皆様の期待にそう講習会を経験出来ると自負しております。そして一人でも多くの患者さんを救うことが出来るよう切に願っております。

日本ACLS協会理事長 境田 康二(医療法人上善会 かりゆし病院)