心肺蘇生の救命率

国内において病院外で急に心臓が停止し倒れる心肺機能停止患者は年間約2万5千人。その原因のほとんどが急性心筋梗塞であり、直後に致死的不整脈である心室細動(VF)が起きたためです。元気だった人が突然倒れて心肺停止になった場合、人が助かる可能性「救命率」はどれぐらいあるのでしょうか。

※救命率とは、心拍と呼吸が戻り意識が戻る率のこと。日常生活ができる状態まで戻る社会復帰率と近い概念です。これに対し、呼吸や意識が戻らずとも心拍が戻り蘇生された割合を「蘇生率」といいます。



一般市民による心肺蘇生等実施の有無別の生存率・社会復帰率(令和元年中)
令和2年中に一般市民が目撃した心原性心肺機能停止傷病者数は2万 5,790 人で、そのうち一般市民が心肺蘇生を実施した傷病者数は1万4,974人(58.1%)となっている。一般市民が心肺蘇生を実施した傷病者数のうち、一般市民がAEDを使用し除細動を実施した傷病者数は 1,092 人で、そのうち1ヵ月後生存者数は581人(53.2%)、1ヵ月後社会復帰者数は 479人(43.9%)となっている
※総務省消防庁 『令和3年版 救急・救助の現況』より引用

一般市民が心肺蘇生を実施した場合の救命率は、15.2%。そのうち、AEDを実施したケースは1,092人で、その救命率は53.2%に。その割合は、一般市民が心肺蘇生を実施しなかった場合に比べ、1ヵ月後生存者数で1.9倍、1ヵ月後社会復帰者数で2.7倍にのぼります。
救命率を上げるためには
突然倒れた人に対してできることは、まずは119番通報、そしてCPR(胸骨圧迫)とAEDによる電気ショックです。救命率を上げるには、このCPRを高い質を保って続けることと、AEDによる除細動をいかに早い段階で行えるかにかかっています。

AEDが届くまでの質の高いCPR

胸骨圧迫と人工呼吸によるCPR(心肺蘇生法)は誰にでもできるものです。しかし実際に倒れた人を前にして、質の高いCPRを行うことは難しいことでもあります。質の高いCPRを行うためには、心肺蘇生に関する正しいトレーニングを重ね、必要な時にしっかりと実践できるようにすることが大切になります。

AEDによる除細動までのスピード

心肺停止に陥ったあと除細動が1分遅れるごとに救命率は7~10%ずつ下がります。このことから10分以上除細動が行われないと生存が難しいことがわかります。AEDの設置率は日本が世界一です。周囲の人にも助けを求め、できるだけ早くAEDを確保し、できるだけ早い段階で除細動を開始することが生存率を上げることにつながります。

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