ACLSとICLSの違いは?

なにが違う?同じ?ACLS とICLS 違いはなに??

ACLSを受講しようと思った際に一度は比較をされたことがある方も多いICLS。
よく似た名称ではありますが、それぞれ独立した資格であり内容も異なります。

この記事ではコースの違いについて解説していきます!!

目次

ACLSとは?

ACLSはAHA(アメリカ心臓協会)が提供している蘇生教育コースで、以前までAdvanced Cardiac(心臓) Life Supportの略称でした。
心停止に対するBLS(Basic Life Support:一次救命処置)に続く、二次救命処置として、かなり心停止の治療に重きが置かれた内容の標準化教育でした。

しかし、心肺蘇生と救急心血管治療のための国際ガイドライン2000 (AHA:アメリカ心臓協会)には二次救命処置を適用するにあたって鍵となる原理ということで以下のように書かれています。

心肺停止前後期

ECCはもはや心肺停止患者のみに焦点を当てるものではない。救急医療プロバイダーは心停止状態のみに対象を狭めることは不可能である。・・・ (中略)
最初の治療者がこの心停止前後期や心停止前期の重要な時間に適切に治療を実施できれば、完全な心肺停止期状態に陥るのを防ぐことができる。

国際ACLSの勧告には、こうした心停止前後期状態に対する科学的エビデンスに基づくガイドラインと教材が提供されています。

  • 急性冠症候群
  • 急性肺水腫、低血圧、ショック
  • 症状のある徐脈
  • 安定した、または不安定な頻脈
  • 急性虚血性脳卒中
  • 蘇生後における脈拍、調律、心機能の障害

心停止のみの対応を習得するだけでは、救命対応は不十分だと考え直され、ガイドライン2000以降はACLSはAdvanced Cardiovascular(心血管) Life Supportの名称に変わりました。

ICLSとは?

ICLSは日本救急医学会が開催している蘇生教育コースImmediate Cardiac(心臓) Life Supportの略です。
日本語で言えば、「心停止に即座に対応する処置」とでもなるでしょうか?

到達目標は、”突然の心停止に対して最初の10分間の適切なチーム蘇生を習得する”となっています。
ACLS同様に実技実習を中心としたコースで受講者は少人数のグループに分かれてシミュレーション実習を繰り返し、1日をかけてチーム医療を身につけます。ACLS基礎(ICLS)コースとして知られております。

どちらを学ぶのがよい?

蘇生処置の導入としてICLSを学ぶことは良いでしょう。
しかし、ガイドライン2000から「心停止に対する対応だけでは不十分である」と明らかにされているため、ICLSを学んだ後には必ず頻脈や徐脈に対する対応、急性冠症候群、急性虚血性脳卒中、蘇生後の治療などを追加学習したほうがよいと考えられます。
本来であれば心停止に対する対応と紐付けて勉強することが効率よく学習できることと思います。

結果、蘇生、救命という観点から考えると、全体を学習する必要があるため、ACLSを受講されることをオススメ致します。